放射線エネルギーを化学エネルギーに変換する方法および装置は実用化されていますか。特許請求の範囲【請求項1】 水および電解液の放射線分解による生成物質と、電池の活物質との化学反応により活物質を再生する事を特徴とする方法および装置。発明の詳細な説明【0001】【産業上の利用分野】本発明は、放射線エネルギーを用いて電池の活物質を再生し、化学エネルギーに変換する方法および装置に関する。【0002】【従来の技術】従来、電池は化学エネルギーを直接化学反応によって、電気エネルギーに変換する装置で、種々の電池が実用されている。電池には、高い還元状態にある負極活物質と高い酸化状態にある正極活物質が充填され、活物質の保有する化学エネルギーが電気エネルギーに変換される。これら高い還元あるいは酸化状態にある物質は自然界より供給される場合もあれは、人工的に電気エネルギーを供給して電気分解により得たり、還元剤や酸化剤を用いて化学反応によって得たりする場合もある。とくに、二次電池では、電気エネルギーを用いて充電により得る。【0003】また、高い還元あるいは酸化状態にある物質は、熱や光のエネルギーによっても得られ、熱や光のエネルギーによって活物質を再生し、化学エネルギーを得る電池も種々考案されている。【0004】また、放射線エネルギーを電気エネルギーに変換する方法および装置においては、従来、二つの系統による、エネルギー変換方式から成り立つ種々の考案がなされ、そのいくつかは実用されている。ます第一の系統は、放射線エネルギーを直接、電気エネルギーに変換する方式であり、磁力線や半導体等を利用して考案されている(例えば、特開平4-218799号公報参照)。【0005】そして、第二の系統は、放射線エネルギーを熱エネルギーのエネルギー源として用い、熱伝対を介して電気エネルギーに変換する方式であり、長寿命で小型の電池が考案され、医療用ペースメーカーの電源として実用されている。【0006】しかしながら、以上二つの系統によるエネルギー変換方式では、放射線の持つ高いエネルギーを、効率良く電気エネルギーに変換するのは困難であり、放射線エネルギーを用いて、日常生活に役立つ量の電気エネルギーを得る方法および装置としては、いずれも不十分であり、非実用的であった。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は、放射線エネルギーを電気エネルギーに変換するにあたり、化学エネルギーを介在させて、効率の良いエネルギー変換が出来る新しいエネルギー変換方式を提供し、実用性の高い電池を提供することを目的としている。【0008】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明においては、放射線エネルギーを化学エネルギーに変換する方法および装置を提供し、新しいエネルギー変換方式を構成した。係る変換方式では、まず、放射線エネルギーの大部分を電池の電解質で吸収し、放射線化学反応によって活物質を再生することにより、化学エネルギーに変換し、その後、直接化学反応によって、電気エネルギーに変換するものである。【0009】従来、放射線化学の分野における多くの研究結果から、水および水溶液に対する放射線の化学作用として、化1の放射線化学反応は、公知となっている。【0010】【化1】【0011】しかし、酸またはアルカリの水溶液である電池の電解液に対し、係る化学反応を得る事を目的として、放射線エネルギーを利用する試みは、なされていない。【0012】そこで、不発明においては、電池の電解液に放射線エネルギーを供給し、その結果得られる化1の反応による生成物の二次反応により、電池の活物質が再生される事を発見するに至り、放射線エネルギーを化学エネルギーに変換する方法および装置の構成が可能となり、これを提供するものである。【0013】係る二次反応の過程は、例えば鉛蓄電池においては化2および化3の化学反応となり、電気エネルギーを用いた充電による化学変化と同様の結果が得られる。しかも、充電時の電池にかかる負荷は、強制的に電流を流す従来の充電方法に比べ、著しく減少するので、充放電サイクル寿命も向上する。【0014】【化2】【0015】【化3】【0016】本発明において、利用可能な放射線源は、化1の化学反応を得られるすべてのものが、一応、利用可能であるが、実用するには、化学的に安定な放射性元素の酸化物を含有する天然鉱石が好ましい。【0017】以上の条件を満たす天然鉱石の一例として、モナザイトが上げられる。その主な成分は、リン、セリウム、およびランタンの各酸化物であるので、希土類元素の鉱石としても産出されている。このモナザイトには、通常5%前後のトリウム232の酸化物と、0.1%前後のウラン238の酸化物が含まれているので、原子核の崩壊により放出される荷電粒子(α粒子およびβ粒子)は、モナザイト1グラムにつき、毎秒約200個となる。【0018】尚、係る鉱石を放射線源として利用する際は、連続多孔質な焼結体として、任意の形状に焼成して用いるのが好ましい。【0019】【作用】本発明の、放射線エネルギーを化学エネルギーに変換する方法および装置を、二次電池の充電に用いる場合、例えば鉛蓄電池では、補水用の蒸溜水に放射線源の焼結体を投入浸漬し、化1の放射線化学反応を十分に得た後、係る蒸溜水を電解液の適止量の約20%となるよう補水する。そして、約2時間程度そのまま放置すると、その間に化2および化3の化学反応が終了し、充電は完了する。【0020】また、放射線源の連続多孔質焼結体を、現在、二次電池に使用しているセパレータと同様の形状に焼成し、二次電池のセパレータとして用いると、電解液に対し、放射線エネルギーを継続的に供給する事となり、電池内部では化1の化学反応と、その二次反応が継続的に起こる事となる。【0021】【実施例1】モナザイトの粉体100gと、粘質陶土100g、焼成硬化剤として無鉛フリット40gを混合して、直径6.5cm、高さ10cmの円筒状に成型し、850℃で焼成し、セラミック化した連続多孔質な焼結体を得た。係る焼結体を、蒸溜水0.5lを入れた容量1lのガラス容器内に投入浸漬して1時間後に、係る蒸留水を、電解液が適正量より約20%不足し、液の比重が1.12となって起電力不足となり、エンジンの始動が不可能となった自動車搭載用鉛蓄電池に、適正量の不足分だけ補水し2時間後に電解液の比重を測定したところ、その電解液の比重は1.20となった。また、エンジンの速やかな始動が可能となつた。【0022】【実施例2】実施例1で補水に用いた蒸溜水を、自動車修理工場に於いて修理のため預かっている間に、長期間浮動充電が為されず起電力不足となって、エンジンの始動が不可能となった小型自動車3台の鉛蓄電池に、電解液の約20%を補水し2時間後にエンジンの始動を試みたところ、3台供に速やかに始動した。【0023】【発明の効果】本発明の放射線エネルギーを化学エネルギーに変換する方法および装置を、二次電池の充電に用いれば、従来の充電には必要であった電源が不要となるので、電源の無い任意の場所での充電が可能となり、また電気料金も不要となる。【0024】また、放射線源のセラミックスを電池の内部に配置し、電池の容量、電気の使用量および供給する放射線量を調整して電池を構成すると、内蔵する放射線エネルギーによって、減少した活物質の再生をする自己再生機能を持つ電池ができる。そして、これを二次電池に形成すると、移動用電源としての性能が従来の二次電池に比べ著しく向上する。とくに電気自動車の電源として大きな効果が期待できる。http://www.patentjp.com/07/U/U100074/DA10001.html
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