話をわかりやすくするために、国民健康保険料の仕組みについてお話します。
【国民健康保険料の仕組み】
まずは、仙台市の場合ですが、国民健康保険料の計算方法は
http://www.city.sendai.jp/kenkou/hokennenkin/hoken-homepage/koh/hokenryo.html
のようになっています。
(1)市県民税所得割額・・・前年の所得などに対して計算されるもの
(2)均等割額・・・被保険者(国保の加入者)の人数に応じて計算されるもの
(3)平等割額・・・一世帯あたりにかかる金額
【世帯分離をするとどこが変わってくるか】
(3)が「一世帯あたりにかかる金額」です。したがって、一つの住所に二つの世帯が住んでいる場合、この
「平等割額」が二世帯分取られる計算になります。
仙台市の例の場合は、
医療分26640円+後期高齢者支援分7800円=34440円が余計に取られる計算になります。
さくらさんご自身が40歳以上65歳未満なら更に6120円も支払うことになりますので、
合計すると40560円余計に支払うことになります。
(既にご家族の中に40歳以上65歳未満の人が居るという前提ですが)
デメリットがあるとすれば、世帯あたりにかかってくる金額を余計に支払う必要がある
(仙台市の場合最大で年間4万円程度)
ということになると思います。
【さくらさんが国保に加入(世帯分離しない場合)に増えるのは】
さくらさんが世帯分離をしない場合、どの部分の金額が増えるかというと
(1)さくらさんの市県民税所得割額(平成21年の市県民税にかかるもの)
(2)均等割額
の部分が増えます。
均等割額の部分だけなら市町村のホームページを見ればわかるはずです。
わからない場合でも、国民健康保険に関するパンフレットを見ればわかるようになっているはずです。
世帯分離をすると年間4万円ほど支払額が増えてしまいますので、
同居されているご家族に、自分が加入したことで、どの程度保険料が上がったかをお聞きになり、その差額分をご家族の方にお支払いになるという方法が取れるのならそうされたほうがよいと思います。
【世帯分離した場合のメリット・デメリット】
世帯分離をすると確かに一世帯あたりにかかってくる金額(仙台市の場合最大で4万円)
を余計に支払わなければならなくなるというデメリットがあります。
しかし、その一方でメリットもあります。
所得が激減したなどの場合、保険料の減免制度を利用できる場合があります。
世帯分離をする前ですと、ご家族の収入(年金とか)も含めて保険料の支払い能力があるかどうかで判断されますが、
世帯分離をした場合、さくらさんの収入のみで減免措置を受けられるかどうかを判断するようになります。
前年(退職する前)は比較的収入があったかもしれませんのでその年度は減免措置の対象にはならないかもしれませんが翌年以降は減免の対象になってくるかもしれません。
そのほか、さくらさんが60歳未満の場合には
国民年金保険料も納める必要がありますが、
所得が失業などの理由で激減した場合、1から2年程度は、
国民年金保険料の免除制度を利用できる可能性があります。
http://www.sia.go.jp/top/gozonji/gozonji02.htm
http://www.sia.go.jp/infom/pamph/dl/mokuteki4.pdf
この制度は失業した場合は、本人の所得を除外して免除の対象になるかを判断しますが、
リーフレットに書いてあるとおり、同一世帯にある程度収入がある場合、
免除の対象にならないことがあるとされています。
(退職後数年経つと本人の所得も含めて免除の対象になるかを判断)
世帯分離をすることで、ご家族の収入がどの程度あるかは関係なくなるため、
国民年金の免除を受けられる可能性が高くなります。
(ただ、国民年金保険料の免除を受ける予定がない場合には、さほどメリットはないでしょう。)
【医療費控除と高額療養費の話】
医療費控除の対象となる「医療費」自体は、同一住所に住んでいるのであれば、
世帯が別々でもまとめて出すことが可能です。
余計に所得税を支払っている人の名前で出すとよいでしょう。
(うちの場合、親世帯と私たち夫婦世帯は住民票上は別世帯、でも住所は一緒ですが、
医療費控除の金額は4人分まとめて、夫の名前で出しました。)
一方、1月に支払う医療費の上限はたとえば、70歳未満の人だけがいる家庭で所得も一般並みなら、8万円強となっています。
それを超える額を高額療養費といっていますが、
世帯が一緒なら、ご家族の分とさくらさんの分を合算して8万円強を超えた部分の支払いは不要で、
もしそれを超えて支払っても払戻ができますが、
世帯分離をした場合、ご家族の世帯で合算して8万円強を超えた部分、
さくらさん一人で8万円強を超えた部分
が払い戻しの対象となってくるので、
一月当たり、一人2万円を超えるような治療を受けているような場合には、
世帯分離をしないほうがよいと思います。
【世帯分離のデメリットのまとめ】
・簡単にいうと世帯割の保険料が増える(例をあげた仙台市の場合年間4万円)
・高額療養費の払い戻しの対象が、自分の治療にかかったもののみになる。
(同一世帯なら家族とさくらさんの分両方が合算対象になる。)
【世帯分離のメリットのまとめ】
審査の対象になる収入等がさくらさんご自身のもののみになるため
・国民健康保険料の減免措置が受けられる可能性あり
・国民年金保険料の免除申請がとおりやすくなる
(ただし免除を受けた場合は、追納しなければ将来受け取る年金額は減る)
【世帯分離をしても影響のないもの】
確定申告の際の医療費控除。同居していれば世帯が別でも1月1日から12月31日までにかかった医療費は合算できる。
以上、わかる部分のみをお答えしました。
わからない部分があれば補足しますので、コメント欄を使って再度質問してください。
===補足===
評価とコメント有難うございます。
再度検索したところ国民健康保険料の減額や減免制度について詳しく書かれているページ(松本市)のものがありましたのでリンクを貼っておきます。
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/kurasi/zekin/hokenzei/kokuhozei_26/index.html
(ただし、お住まいの地域によって異なるかもしれませんので、詳しいことは役所のサイトで確認してください)
参考にした松本市の場合は、
世帯分離をした場合、(前年の所得が一定以下でない場合には)
(1)市県民税所得割額・・・減免(2割引から10割引き)になる
(2)被保険者割(均等割り)・・・割引にならない
(3)世帯割(平等割)・・・割引にならない
世帯分離をしなかった場合
(1)市県民税所得割額・・・たぶん割引にならない
(2)被保険者割(均等割り)・・・割引にならない
(3)世帯割(平等割)・・・世帯分離をしていないため、(既に国保に加入されているご家族が支払っているので)かからない
どっちにするか迷った場合には、(被保険者割は世帯分離してもしなくてもかかる費用なので)
世帯分離した時に支払う・・・割引になった市県民税所得割額+世帯割額
世帯分離しなかったときに支払う・・・割引にならない市県民税所得割額
とを比較する、とよいかもしれません。
ただし、世帯分離をした場合、高額療養費の計算をする際に、
さくらさんの分だけ合算になりませんので
単純に保険料だけで比較するのも難しいので悩ましいところではあります。
国民年金保険料は免除を受ける予定がないということですので、
世帯分離をした場合のメリットは少ないような気がします。
ところで、本当に役場の方、計算できないんでしょうか?
例えば、
●「前年の所得はこのくらいなので、
私自身の市県民税所得割額と、均等割額を教えてください」
(源泉徴収票を持参すれば前年の納税額や収入等は計算できるはず)
とか
●●「私個人で国民健康保険に加入した場合、市県民税所得割額が減額になるらしいので、
(と言いながら職安からの書類を見せる)
割引後の市県民税所得割額と、均等割額(被保険者割)と平等割額(世帯割)を
計算してもらえませんか?」
と言い方を変えると面倒でも計算してくれるかもしれません。
(できないと言われたら上の人を出してもらうとか)
少なくとも●●の言い方をした場合、保険料が計算できないということはないと思いますので、
世帯分離をした状態での保険料の全額がわかって、市県民税所得割額が何割引きになるのかを聞き出すことができれば、
保険料の全額から均等割・平等割を差し引いて、例えば割引率が5割だとわかった場合には、
残った保険料を2倍にすれば、減額される前の市県民税所得割額もおのずと出てくるような気がします。